高齢化社会の行方

「一体、どうなっているのか長寿社会日本」といいたくなる出来事が起きている。113歳の高齢者が所在不明となり、調べたら亡くなっていたことが分かった。しかも、遺族年金が払い続けらていたのである。あわてた自治体は、他にも同様のケースがないか調査を行ったところ、全国の自治体でも56名の所在が分からなくなっていることが発覚した。長寿社会としてその地位を確立してきた日本だが、どこに問題があったのだろう。

 

 問題を探る上で、手続き面ではどうであろうか。行政は住民票が届け出制のため、書類を出さずに転居したケースでは、行き先を確認する術をもたず、追跡するんのが困難である。住民票の転居届けをせず、他の自治体に移転をしてしまっていることが問題を複雑にしている。仮に、自宅に行ったとしても、家族が何らかの理由で拒めば、無理やり面会を迫ることは自治体職員でもできない。

 

川崎市では現在、100歳を超えるお年寄りが334名いる。健康福祉局の話によると、この事件を受けて、100歳以上の高齢者の確認作業を行うことを検討している。今後、戸別訪問などを通じて1カ月間程度、実施する予定だという。

 

地域では、民生委員の方々が、地域の高齢者を見守っている。川崎市の施策では「介護予防いきいき大作戦」を展開している。地域住民によって、見守り、支えあい、助け合いといった視点でコミュニティづくりを積極的に行っている。地域の強いつながりこそが、こうした問題を防ぐ、唯一の方策だと私は考える。