2011年2月アーカイブ

耐震

NZ南島におけるM6.3の地震で、甚大な被害が発生しました。今では、CTVビルの耐震に対する疑問が、囁かれています。一方、川崎市議会代表質問でも、建築物に対する耐震化の議論が行われました。市の耐震施策の現状はどうなっているのでしょう。

 

川崎市耐震改修計画(平成19年度4月から平成27年度末)は、市内の公共施設や民間施設の、耐震化促進のために基本的な施策が定められています。計画には耐震性が不十分な戸数を、94300戸(平成15年度央)としています。目標として平成27年度末までに、34900戸まで縮減を図る計画です。

 

その対応として、平成23年度予算のうち、「市営住宅の耐震対策として469200万円、民間建築物の耐震対策のうち、木造住宅及び共同住宅の耐震診断や耐震改修の助成に約1700万円、多数の人が利用する一定規模以上の建物など特定建築物の耐震助成に約6700万円、宅地防災工事の助成に1500万円などを計上した」と自民党代表質問で答弁しています。

 

いつ何時起こるか分からない地震です。全ての建物の耐震診断及び耐震改修の促進を行う必要があります。川崎市の制度には、木造住宅耐震改修助成制度、民間住宅リフォーム資金金融制度など、耐震に備えたメニューが用意されています。しかし、その制度はあまり周知されていません。耐震制度の広報の充実も、進めていかなくてはなりません。

市民の声

川崎市民アンケートの結果が、215日に発表されました。これは、3000人を標本に、年に2回実施されています。結果は、行政の政策の立案などに用いられています。幾つかの質問のうち興味深いのは、「市政の仕事で今後力を入れてほしいこと」の回答でした。

結果の1位は、「病院診療所の整備や救急医療体制の整備」(42.9%)でした。2位は、「防犯対策」(42.7%)。3位は高齢者のための施策」(40.6%)。4位は、「子どものための施策」(33.4%)でした。

市民の意見として「力を入れてほしい」と示されることは、「不足している」ことに置き換えることもできます。この結果から分かるのは、まずは、安全・安心が第一優先ということです。次に、少子高齢化にしっかり対応した施策の拡充だと受け止めます。議会側もこうした結果を真摯に受け止め、建設的な議論を行っていかなくてはなりません。

 

詳細はこちらから http://www.city.kawasaki.jp/press/info20110215_1/item8097.pdf

孫子の兵法

hirotoimg141.jpg この半年間の読書歴を振りかえってみると、自己啓発本が多いことに気がつきました。人生の節目を目前に、強い自分を作りたいと、どこかでそう考えるようになっていたようです。本屋に行けば、自然と生きるためのヒントを探していたのです。本を物色していると「兵法の教えにこそ、必勝の道がある」との帯が目に止まりました。

 

『兵法に学ぶ』(経済界)中條高徳著を読みました。著者は、アサヒビールのスーパードライの生みの親であり、低迷を続けた会社を再生した人物です。アサヒビールの経営戦略を、兵法による販売戦略に活用し、成功した事例が紹介されていました。

 

そこでは、大が小に勝つための4つの方法が紹介されています。その方法とは、「少数精鋭」「局地優勢」「個別撃破」「奇襲戦法」です。戦局や戦況に応じて活用することによって、相手に勝ることができるのだといいます。4つの言葉をまとめると「一点集中」となり、それに収斂することの必要性を説いています。相手にはない自分の利点となるものを発見し、そこに力を集中させ、一手に攻めるのです。

 

 兵法の教えを、春の戦(いくさ)に活かせないか、考えるチャンスをくれました。この4つの兵法を理解するには、もう少し読み解く必要があります。その「一点」を熟思しなくてはなりません。何でもそうですが、先人の知恵に学ぶことは、成功への第一歩だと信じています。この一冊、ビジネスでも通用します。お薦めの一冊です。

理念条例から政策条例へ

 今朝の朝日新聞の記事に、「提案低調、貧しい議論」とあった。読んでみると、議員提案の条例数の低さを「見えない議会」として論じている。確かに、川崎市の2007年以降の政策条例は、1つも提出されていない。議会側はなぜ、執行機関が出す条例の追認に終始するのであろうか。この問いは、二元制の一方である議会の機能、役割が問われていることに他ならない。 

 

地方自治法の第96条で、条例の制定改廃を議会の権限とし、予算を決し、決算を認定することなどが謳われている。97条第2項では、議長は、長の予算提出の権限を侵さない限り、予算について増額をしてこれを議決することと、謳っている。つまり、議会は、すべての事項に関与することが可能なのである。

 

 議員が条例を提出するには、どのような手続きが必要なのだろうか。地方自治法112条第2項には、議員定数の12分の1の賛同があれば、条例を提出できると定めている。当然、過半数の賛成がないと、条例は成立しない。制度上は、議会が立法機関で長が執行機関であることは、今更いうまでもない。川崎市議会(60議席の場合)では、5人の同志がいれば、条例を提出することが可能となる。

 

 市民の声には、「議会が遠く感じられる」という者も少なくない。立法機関としての機能が、果たされてこなかったことに起因する側面もある。条例を賛成する側は、執行部からの提案を受けて議論を重ね、完成された条例に理解を示すことに慣れすぎてきたのだ。しかし、その方法が問われている以上、議会も変わらなくてはならない。

宮崎第4公園が改修へ

IMG_0854.JPG 川崎市に対してこれまでに、宮崎第4公園の改修を要望してきました。予算案を見てみると、ようやく事業に位置づけることができました。平成23年度予算案には、宮前区の区別投資的事業の一覧に、3156274000円が計上されています。そのうち、公園の整備事業「宮崎第4公園バリアフリー対応整備」として、40106000円が計上されました。

 

担当者に整備内容を聞いてみると、公園の入口の部分から続く歩道を、舗装する計画だといいます。併せて、ベンチの改修も含めて行っていくと説明がありました。確かに遊歩道は、木の根で凸凹です。雨の後は滑る危険すらあり、歩きづらく感じます。木製のベンチは腐りかけており、座るにはハンカチでも敷かないと、ズボンが汚れてしまいそうです。

 

これまで担当者に、ベンチの傷みをいくら説明しても、順次改善を図っていくとの説明に終始していました。行政は公園の状況に目を向け、迅速に対応するべきです。引き続き、誰もが安心して利用することができる「快適な公園」の環境整備を目指して、議論を行って参ります。地域の公園情報がありましたら、ご意見をお待ちしています。

 

エネルギーは太陽光から

DSCF0825.JPG 自然エネルギーに注目が集まっています。ご家庭の屋根に、そろそろ太陽光設備を、と考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。一方、公共施設での取組みはどうなっているのでしょう。写真は、一足先に太陽光発電設備を設置した、高津区役所の屋上の様子です。宮前区役所では、この秋にも同様の太陽光発電設備を設置する予定となっています。その効果を探ってみましょう。

 

 川崎市地球温暖化対策推進基本計画には、再生可能エネルギー等の利用として、太陽エネルギー利用量を2020年度までに30倍にする目標を掲げています。目標達成には、民間家屋の設置に向けた推進策と併せ、公共機関における設置も進めていかなくてはなりません。なかなかこの目標、随分、高めに設定されているようです。

 

 宮前区役所に太陽光発電を導入する費用対効果はどうでしょう。費用は、27761000円。うち国庫補助額が400万円となっています。効果は、1年間で1kWhの発電が見込めます。ちなみに、一世帯当たりの1年間の電気消費量が約3400kWhですから、家庭に置き換えると3世帯分の電気を生み出すことになります。年間の電気代削減額は、20万円程度です。元をとるには100年以上かかる計算です。

 

DSCF0827.JPG 民間の家庭では、余剰電力が発生した場合、電力会社に売電することが可能です。そのために、普及が進んでいます。しかし、区役所に設置した場合は、生み出す電力量が限定的で、施設の使用規模には到底及ばず、費用対効果の面からも積極的にはなれない側面があります。効果は、普及・促進に向けたPRに限定されそうです。

鷺沼駅北口情報

saginuma.JPG 329日(火)に鷺沼駅北口改札口がオープンすることが発表されました。これにより、北側の近隣にお住まいの方は、通勤通学などの際、若干の時間短縮となり、便利になります。自動改札機3台、券売機2台、清算機1台が新たに設置されます。

 

  また、現在の正面口(南側広場のバスロータリー)に面した歩道の舗装を、改修することも明らかになりました。丁度ケンタの前あたり、駅の街頭演説で私が立たせて頂いている歩道です。これから選挙前の期間なので、工事の影響がちょっと心配です。以上、最新情報でした。

斬新工夫予算

川崎市議会第一回定例会がスタートした。阿部市長の市政方針演説が49分間にわたり行われた。そこでは、平成23年度予算に対する3つの基本姿勢が示された。1つは、川崎再生フロンティアプランの着実な推進。2つは、自治基本条例に基づく市民本位のまちづくり。3つには、行財政改革の推進を挙げた。加えて、川崎市の地の利とポテンシャルを活かした施策をいくつか掲げている。

 

 市長により示された一般会計予算案では、6180億円(対前年比1%増)が計上された。市内経済がようやく上方に向かう兆しが伺える。特別会計は、4848億円(対前年比9.4%増)、企業会計は、2214億円(対前年比4.3%増)。合計すると13243億円余(対前年比4.5%増)に及ぶ。

 

市はこの予算を、「斬新工夫予算」と名付けた。斬新の意味をスーパー辞林で調べると、「発想が独自で、それまでにまったく類のないさま。」とある。これに「工夫」を加えていることは、厳しい財政状況の中にあって、歳入と歳出のバランスをとることに苦労したことが伺える。

 

 予算案は、いずれも増収となり過去最大規模となっている。しかし、扶助費の増などを見据えれば、緊縮財政をとらざる得ない。そこで、行財政改革を確実に実行するこが必要である。市民参加のしやすい土壌を、行政がつくることも忘れてはならない。その結果、示された実行計画を確実なものとする。行政から提案された予算案を、しっかり議論していきたい。

ジャック

            神奈IMG_0843.JPG川県庁の近くに、ジャックこと「横浜市開港記念館」があります。このジャック、大正6年(1914年)71日の開港記念日に開館しました。威風堂々とした意匠が、横浜の歴史を感じます。前からずっと気になっていたこの建物、県庁に来たついでに、この中に入ってみることにしました。

 

 

2階に進むと、貴紳の男性が声をかけてくれました。男性は、横浜の歴史や展示品の説明を、ボランティアで行っているそうです。早速、館内の案内をして頂くことになりました。

 

  IMG_0833.JPG注目は、横浜の村(関内)を描いた絵です。

ペリーが横浜に来航した1853年以前の風景を描いています。作者は和田英作画伯です。絵を観ると、当時はなにもなかったことがわかります。たった400人の片田舎に、ペリーの黒船が突然7隻もやってきたわけです。さぞ驚いたことでしょう。絵を観ながら、そんなことを想像するのも楽しいものです。

  

IMG_0836.JPG窓から光を取りこんでいるステンドグラスは、ペリー乗船のポーハタン号が入港する様子が意匠されています。関東大震災で焼失したものを、改めて復元したそうです。奥に見える本牧・山手の岩肌が西風を防ぎ、野毛山が北風を防いだそうです。当時の黒船が入港するには、最適な場所だったといえます。

 

  見どころは、まだまだあります。ここでは、ボランティアの皆さんが活躍されていました。ガイドさんのお陰で、歴史好きの私には至福の時間となりました。ガイドさんが語ってくれました。「横浜が大好きで、訪れて頂いた方とのコミュニケーションが楽しい・・・」と。横浜のノスタルジックな時間、皆さんもいかがですか。

春の息吹

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 宮前区の観光名所でもある等覚院の梅が、ようやく咲き始めました。春の息吹を感じる季節です。今日は、ポスター撮影でここへ来ました。昨日の雪も少し残り、張った水はうっすら氷っています。宮前区の住宅街にも、こんな立派なお寺があるんです。

 ここは「つつじ寺」としても有名で、季節になると多くの方が訪れる名所となっています。つつじが開花するのは4月の後半くらいでしょうか。階段を囲むつつじが、きれいに花の色に染まることを想像すると、なんだか春が待ち遠しく感じます。

 参考までに、つつじの花言葉は「愛の喜び・情熱・初恋」だとか。あっ、そうそう、明日は2月14日のバレンタインデー。皆様にとりまして、ハッピーバレンタインでありますように!    

動き出した神奈川口構想

外観1.jpg仮称)産学公民連携研究センター整備事業の最優秀提案が決定した。優先交渉権の決定に輝いたのは、左の施設を提案した事業者である。施設が置かれる殿町3丁目地区は、研究開発拠点の整備を促進する、中核施設ゾーンとして期待されている場所だ。

 

提案された施設は、一階に交流施設、二階に健康安全研究センター、3階に環境総合研究所、4階に民間の施設が入居する計画となっている。環境配慮としては、「二重外壁による熱負荷の軽減、太陽光、太陽熱、地中熱の採用」がされている。平成234月に事業契約締結が行われ、平成251月に開設となる。

 

外観2.jpg 神奈川口となる殿町地区は、川崎の「顔」になる地域。大学や研究機関、企業などが環境をテーマに集積し、環境技術をけん引していくことに価値が発生する。川崎のポテンシャルは、「環境」である。国と川崎市は連携を強化し、「総合特区」の活用を推進し、環境分野へのインセンティブを与えてもらいたい。

 子供たちの病気は、時と場所を選ばず発症してしまう。そんな時、病院の医療費の負担が子育て世代に、重くのしかかることがある。川崎市では、子供の命を守るため、「小児医療費助成制度」を行っている。子供の医療費を条件付きで肩代りしている。経済的な負担軽減策は、子育てを行ううえで、大変にありがたい制度となっている。今後、制度を持続可能なものとしていくには、どうあるべきなのか考えてみたい。

 

制度は昭和484月に、川崎市乳児医療費助成制度として、所得制限なしで0歳児のみの補助からスタートした。年々、年齢枠を拡大し、現在では0歳児から小学就学前まで対象となっている。また、小学生から中学卒業までは、入院の自己負担額の助成を行っている。川崎市ではこの財源の一部を、行財政改革によってねん出している。無駄を省くことによって生み出された財源で、手当が行われていることは、あまり知られていない。

 

全国の政令指定都市比較では、対象年齢にばらつきがみられる。ともに通院・入院の補助で中学卒業まで対応している自治体は、さいたま市、浜松市、堺市と3市に留まっている。小学校3年生まで対象にしているのは、新潟市と神戸市である。同様に神奈川県下の33市町村では、中学卒業まで通院・入院ともに支給している自治体が中井町と山北町と箱根町と、やはり3市に留まっている。

 

 医療費の助成は、経済的な負担のみならず、親の心の面でも支えとなっている。出来ることなら川崎市も、対象年齢枠を拡大することが望ましい。本来なら、対象年齢に自治体間格差があること事態おかしいのだ。国が駄目なら県域で実施すれば、対象年齢の格差は解消する。市の単独事業として行っている以上、この制度を持続可能なものとしていかなくてはならない。これから第4次行財政改革プランがスタートを迎える。川崎市は引き続き、改革還元予算の確保を、積極的に行うべきである。

新たな医療制度へ

 平成21年夏の陣によって、民主党政権が誕生した。あれから2年近くがたった。国政は停滞を続け、日本の将来に危機感さえ覚えてならない。特に医療制度では当時、民主党が後期高齢者医療制度を盛んに批判していた。後期高齢者医療制度の、75歳の年齢到達によって保険を分離・区分することを問題視していた。名称も、後期高齢を差別的な名称だとして非難した。

 

 自民党政権下の後期高齢者医療制度の取組みでは、老人保健制度を改め、保険の運営主体を都道府県単位の広域にした。それには理由があった。保険料の格差を5倍から2倍へと縮小するためであった。自治体間格差を改善する最善の政策を実行していたのだが、制度の周知不足やプレゼンが下手なこともあり、非難の対象となった。

 

 民主党政権が新たに示した医療制度は、第一段階(平成25年度から)として、75歳の年齢で区別することをやめ、都道府県ごとの財政運営に向けた環境を整備する。第二段階(平成30年度から)では、全年齢を対象に都道府県単位の財政運営へと切りかえるとしている。現行の広域連合方式を、廃止する計画だ。

 

 神奈川県後期高齢者医療広域連合議会の議長を経験させて頂いた私から、あえて申し上げたい。日本の高齢化は、世界に類をみないスピードで進行している。民主党の計画にある平成30年度からの制度改革は、医療制度は安定させることができるのか疑問である。後期高齢者医療制度を改めるのであれば、国民皆保険を堅持するための、税財源も含めた一体的な案を示すべきである。

DSC06396.JPG花は時として、人生の「生きざま」に例えられることがある。

 

「花よりも花を咲かせる土になれ」といったのは、松井秀喜氏の育ての親である、駒沢大学出身の山下智茂氏の言葉である人間形成における野球学の美と称賛したい言葉である。政治にあてはめて考えてみると、なんとも感慨深い言葉である。

 

スマップが歌う「世界に一つだけの花」の歌詞。「一人一人違う種を持つ、その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい♪」と謳っている。他人と自分とを比較せずに、自分の得意なところを伸ばすことだけに専念せよと、言ってくれているような気がする。

 

 コブクロが歌う「ここにしか咲かない花」の歌詞。「何もない場所だけれど、ここにしか咲かない花がある♪」と謳っている。その場所で咲くからこそ、美しいことってある。

 

 美しい花を咲かせるには、土が必要だ。蓮の花は、汚れた泥の中で育ち、綺麗な大輪を咲かせる。汚れた泥の中に凛として立ちあがり、泥に染まらずに鮮やかに咲く蓮華の花。その姿を人生に置き換えてみれば、自分の姿勢も「凛」としたくなる。

ホームレス問題

車で移動していると、空き缶を自転車の荷台に一杯乗せたホームレスをみかけることがある。空き缶を業者に売って、生活費にしようとしていることが容易に想像できる。ホームレスを減らすには、どのような政策で臨んだらいいのだろうか。健康福祉委員会で、ホームレスに関する報告があった。

 

 川崎市内のホームレスの人数は、平成15年度に1038人だったものが、平成21年度では、666人に減少している。区別では、川崎区343人、幸区104人、中原区118人、高津区60人、宮前区6人、多摩区31人、麻生区4人となっている。居住別では河川敷が268人、公園が141人、道路が41人、駅舎が9人、その他が207人となっている。人目を気にせず暮らすことができる、多摩川河川敷に住み家を置く者が多いことがわかる。

 

川崎市ではこれまで、自立支援対策に力を入れてきた。支援センター等を整備することで、就労自立や福祉自立へとつなげてきた。現在ではその施設も、4か所整備されている。平成233月には、富士見生活づくり支援ホーム本館の閉所に伴い「川崎市就労自立支援センター別館」が、新たに開所となる。施設では、3カ月から6カ月程度の利用により、次の居住の確保のための資金を貯蓄することに貢献し、食事の提供をする。

 

 問題は、一時宿泊施設を提供したところで、その効果は限定的であるということだ。ホームレスを減らすには、そうなってしまった原因を、取り除くための支援が必要となる。主な原因は、失業である。川崎市の就労支援施設も宿所の提供に留まらず、社会復帰の訓練を行ってみてはどうだろうか。生活習慣にまで指導を行い、半年とはいわずに1年間かけてじっくりやってみる。そうすれば、次の住み家を野外に選択することはないはずである。

年金問題

 健康福祉委員会で、年金制度の改善を求める請願の審査を行った。そもそも年金というのは、国民による支えあいの精神に基づき制度化されている。しかし、将来の不安から、未納者が増えている。会議で配られた資料には、それを証明する数字が示されていた。今後、年金制度を持続可能なものにしていくためには、制度をどうすべきなのか探る。

 

納付率の状況は、平成17年度末の67.1%から、平成21年度末では60.0%と減少している。無年金者数の推計では、今後納付できる70歳までの期間を納付しても25年に満たない者は、60歳未満で45万人。60歳以上で73万人、合計すると118万人になる。物価スライドにより変化する老齢基礎年金額は、現在で792100円となる。月額にすると66008円で、どんなに切り詰めた生活を送っても不足する額だ。

 

 国の動向は、国民年金法等の一部を改正する法律案(年金確保支援法案)の議論が進んでいる。「新年金制度に関する検討会」では、新年金制度の基本原則として7原則が示された。また、「税と社会保障の抜本改革調査会」など、様々な会議が設置されている。民主党は、消費税5%を維持したまま、全額を最低保障年金に充てるとマニフェストで約束していた。

 

 今こそ、支えあいの精神が求められているのではないだろうか。納付率が低下するなか、まず年金に対する国民の信頼を回復することが前提となる。そのためには、制度自体を変えなくてはならない。最低保障年金制度の議論は、消費税の議論抜きには語られないはずだ。国には、公平さと信頼性を担保した、抜本的な制度改正の議論を慎重に進めてほしい。