司馬遼太郎記念館を訪ねた。敷地内にある自宅の書棚には、6万冊の本が納まっているという。自宅の門から玄関の脇を抜け庭に入る。手入れのいき届いた木々の隙間から、書斎が見えてくる。
『街道をゆく』の執筆資料が、そのまま置かれている。その椅子は今なお、主を待っているかのようだ。
この机、この場所から、あの『坂の上の雲』や『龍馬が行く』などの作品が誕生した。ここを訪れた旅人は、歴史のへと誘われるのだ。
司馬遼太郎文学を支えた多くの書籍や庭の木々に囲まれていると、明治時代の文明開化の様子が目に浮かぶようだ。
司馬氏は『21世紀に生きる君たちへ』で、歴史についてこう語っている。「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生がそこにつめこまれている世界なのです。・・・」
「私は少なくとも2千年以上の時間の中を、生きているようなものだと思っている。この楽しさは ー もし君たちもそう望むなら ー おすそわけしてあげたいほどである」