2011年12月アーカイブ

管子に学ぶ

中国春秋時代に管子という政治家(思想家)がいた。国家を維持するために必要な4つの徳目として「礼儀廉恥」を唱えた。4つの大綱の1つでも欠ければ国は傾くと指摘する。

 

礼は、敬うこと。儀(義)は、道徳のこと。廉恥(れんち)は、潔く恥を知ることの意である。つまり、他者に儀礼を欠くことなく、清く正しく無欲で恥を知ることを諌言している。

 

これが国家ともなれば「四維」としての意味を明瞭にする。相手に礼を持たない国家は独走し、道徳心に欠ければ孤立する。廉恥のない国家は危機に晒され、やがて倒れ破滅に向かう。管子の言う通り、1つでも欠いてはならない。

 

 2000年以上も前に生きた政治家の言葉が、今に通用すること自体、驚くべきことである。現在の国家間の争いを見ても、歴然とした事実である。国家を構成するのは人である。国民に四維の精神が宿ってこそ、国家の安泰も続くのだろう。

記憶に残る1年

川崎市の10大ニュースの結果が発表されました。1位に輝いたのは「藤子・F・不二雄ミュージアムの開館」です。2位は「311日の震災による市内の交通のみだれと停電」。3位は「ミューザ川崎の天井崩落」です。今年の特徴は10位までの4つに、震災関係のニュースが入ったことです。

 

 私だったら、市内ニュースの1位は「4月の川崎市議会議員選挙」となります。しかし、アンケートではランク外。震災復旧の最中で行われた選挙であったことも影響し、印象としてはあまり残らなかったのでしょうか。来年は、明るい話題が続くことを祈ります。

川崎市http://www.city.kawasaki.jp/20/20kityo/home/h23_10news/10dai.html

ダム建設の是非論

国交大臣は、八ツ場ダム建設の再開を表明した。09´民主党マニフェストには「建設中止」と謳っていた。我々も報道によって、その方向性で進んでいくものと受け取っていた。しかし、民主党の「コンクリートから人へ」と掲げた言葉もむなしく、今や色あせてみえてならない。右往左往する政権に、周辺住民の怒りは如何ばかりであろうか。

 

この迷走劇を見て、ある経済学の教授がいっていた言葉を思いだした「経済学は全ての事象を数字で証明することができる」経済学によるコストベネフィット分析によって、現在の進捗からしてダムの建設の継続は、必然なのだということが分かる。必要な総事業費は4600億円。伴う6000億円の便益に対して、既に3400億円が投じられている。残りは1200億円ということになる。つまり1200億円分の工事を継続すれば、6000億円の便益を得ることになる。

 

八ツ場ダムの建設は、過去のカスリーン台風による被害の教訓から建設が決まった。日本の地形は、雨が降って海に流れるまでの時間が短い。流域の安全確保のため、治水対策と利水対策は日本の地理的特性を踏まえれば、必要不可欠なのである。しかも、地域振興のための約束がったなら、なおさらである。

 

 この計画に対する結論は「継続」でしかない。「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズは、建設に8割近く投じられた今になって言うには、あまりにも遅すぎる。経済学によるコストベネフィット分析は、事業の継続か否かを問われた際に、最もわ分かりやすい判断材料の1つと言える。

☆クリスマスせまる☆

IMG_0081.JPGクリスマスを目前に、トイザラスはやっぱり混んでいました。父親としての準備もようやく済ませ、まずはひと安心。さて、明日からいよいよ3連休です。皆さんはどのような計画をたてていますか。JTBによる年末の動向調査によると、明日からの3連休に旅行へ出かける人は、前より増加するといいます。旅行を計画する人の目的では「実家で過ごすため(40.4%)と答えた人は、前年を4.4%上回ったそうです。

 

今年の年末にしたいことは?との問いでは「この先の平和・幸せを祈願するため、神社・仏閣にお参りする(31.7%)」がトップ。次いで「家族と親族との絆・つながりを深めるため、離れて住む家族・親族を訪問する(19.2%)」「家族との絆・つながりを深めるため、家族揃って外出・旅行をする(13.4%)」という結果でした。

 

掃除もやりたい、年賀状の準備もしなくてはならないと、何かとせわしい師走。震災の影響により、家族や親族との時間を大切にしようとする人が増えたのではないでしょうか。アンケート結果からも、「絆」を大事にしたいと考える人は、増えていることが分かります。ちなみに私の年末は、毎晩続く忘年会に出席の予定。イヴイヴは、県議会議員のクリスマスパーティーに参加です。

閉会

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 川崎市議会は、本日で閉会となりました。一般質問は4日間行われ、60人の議員の内53名が質問にたちました。

 最終日の今日、一般質問にたち、下記の項目について質問しました。1 宮前区内の保育所整備の進捗状況について」こども本部長に

2「宮前平駅周辺の歩道整備について」建設緑政局長に

3「菅生緑地の整備について」建設緑政局長に

4「廃屋などの対策ついて」消防局長と財政局長に

  議会でのやり取りは、川崎市議会HPにの録画でみることができます。詳しい内容については改めて、広報紙などで報告します。http://www.city.kawasaki.jp/council/

議員条例

 地方議会の議員による政策立案能力が、これまで以上に試されている。その理由の1つとして、議会は条例を策定する立法機能を有しているからである。議員条例の議論が活発化した背景には、地方分権一括法による、条例制定権の拡大による。議員提案のハードルが下がり、少人数でも提案しやすくなっている。議員の意識改革も加わり、議員提案による条例制定を、各地でみるようになった。

 

全国市議会市長会の調査によると平成22年の1年間に、議員提案された新規条例案は809市ある内で316件(177市)だった。これを2種類に分けた場合、政策的条例案と政策的でない条例案に大別できる。提案件数は前者が156件(88市)、後者が160件(101市)とほぼ同数に近かった。1市あたりにすると、年間平均1.8件となり、2件に満たないことが分かる。

 

では、19政令指定都市だけみるとどうだろうか。新規条例案が32件(11市)の提案であった。その内、政策的条例案は26件(10市)、政策的でない条例案については、6件(3市)となっている。これを1市あたりの平均にすると年間2.9件で、こちらは3件に満たない件数となっている。

 

 議会は、3ない議会と揶揄されることがある。これまで積極的に条例を提案してこなかった経緯からのようだ。上記のデータが示すように、議員による条例の提案の実態は、確かに少ない。地域の課題を把握する議員により問題を提起し、解決のための政策条例案を、積極的に提案する必要はある。私も反省し、研究を進めたい。

県と市の関係

橋下大阪市長の進める大阪都構想が注目を集めている。これに合わせるかのように他都市の地方議会でも、大都市制度の議論をスタートしている。今なぜ地方の形を変ようとする議論を盛んに行っているのだろうか。そこには二重行政の弊害を指摘する声がある。そこで、県と市の役割分担を、もう一度見直す必要はないだろうか。

 

二重行政の弊害はいくつか指摘されている。例えば、河川の管理である。川崎市内の川のほとんどは、一級河川に位置付けられている。管理は、一本の川にもかかわらず県と市で別々の管理を行っている。つまり、治水対策も県と市で違う計画と予算で行っているのが現実だ。

 

県と市の役割分他は結構、分かりづらい。道路の交通安全対策もその一例である。例えば、市議会には信号機の設置を求める陳情を議論することがある。私も何度となく議論に参加している。しかし、信号機の設置を決めるのは県の役割で、市に権限はない。つまり、川崎市で設置の有無を議論して結論を出しても、県に要望を伝えるのが関の山である。

 

 

二重行政といわれる部分については、例を挙げれば枚挙に遑がない。問われているのは、県と市の役割を見直して、効率的な組織と運営をどうつくりあげていくかということである。大阪に限らず他の自治体においても重複した業務は整理し、サービスの向上を図るべきである。

夢の翼 Maid with Japan

image.jpeg 写真は、B787型機。最先端の素材と技術が集められた夢の飛行機です。現在、羽田―岡山、羽田―広島を就航しています。これまでに何度も羽田の展望デッキから機体を探しましたが、その姿を目撃することはできませんでした。写真は、頼んで頂いたものです。待ち焦がれていたこの機体は既に、世界に先駆けて日本の空を飛んでいます。

 

 この飛行機の特徴は、レイクド・ウイングチップの洗礼されたウイングにあります。空気抵抗を減らし揺れを最小限にします。エンジンのシェブロンにあるギザギザの排気口は、他の飛行機と見分けるのに有効です。騒音を低減させる機能を備え、飛行機の持つイメージを一新しています。機体のパーツにいたっては。構成する全部品の35%が日本の技術ですから、「純国産」の飛行機といっていいでしょう。

  

 飛行機好きの私にとっては、早く搭乗してみたいと夢が広がるばかりです。そう、子供のころの夢といえば、パイロットになること。夢は儚いもの。人生の現実は、見事に違う道へと進んでいます。さて、未来の飛行機はこれからどのように進化するのでしょう。楽しみでなりません。もしかして、ハイブリッドも・・・。

神奈川県の津波被害想定

 東京湾は地震が起きても、津波の被害は少ないと教えられたことがある。その理由として、東京湾の入口に大島があり、地形状、津波を遮るからだと。確かに、震源地の位置によっては波を軽減するのかもしれない。しかし、震災を経験すると、その脅威は、かつて学んだ自然地理学の領域をはるかに超えるものとなる。

 

国の専門調査会の中間答申を受けた神奈川県は、津波被害の想定を見直し「津波浸水予測図」(素案)を公表した。発生頻度は極めて低いとしながらも、最大級の津波を想定している。川崎市議会の代表質問でも、臨海部の津波対策に対して、質問が繰り返された。

 

県によると、鎌倉市の津波の高さは、1605年の慶長地震を加え想定すると14.4メートルとなる。1498年の明応地震を加え想定した津波では12メートルとなり、鎌倉の大仏や鶴岡八幡宮まで到達する可能性を示唆している。

 

 東京湾沿岸も例外ではない。慶長型では、川崎市も高いところで4メートルの高さに及ぶ。浸水域は広域となり、川崎の競輪場近くまで到達し、甚大な被害が出ることが推測される。国道15号線は超えることはないが、付近まで及ぶことになる。

 

 我々は3.11の地震で、自然の脅威を見せつけられた。歴史が繰り返す自然災害は、人間の想像をはるかに超え、被害をもたらしてきた。県は、最大限の津波を想定し警笛を鳴らす。川崎市はハザードマップの作成と、対策を急ぐべきである。

神奈川県 http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/380912.pdf

測定結果

川崎市議会定例会では、各会派の代表質問が行われた。議論の一つに放射線量の測定について質問があった。川崎市は6月の調査に続き、450施設1818箇所の2次調査を実施したと回答した。

 

市内にある学校施設などの放射線量の結果で市の定めた0.19マイクロシーベルトを超えたのは、市内で18箇所あった。そのほとんどが雨樋の下で検出され、除去などの対応を行ったという。

 

市内で最も高かったのは、川崎区宮前小学校の雨樋の下で0.54マイクロシーベルトを記録。除去後は0.17マイクロシーベルトまで下がっている。

 

 一方、宮前区では子育て支援センターすがおの雑草地で0.24マイクロシーベルトを記録した。除去後は0.14マイクロシーベルトまで下がっている。担当者の話では、その土は既に浮島に運んだという。

 

 代表質問に対する市の答弁では、ガイガーカウンターの貸し出しも今後、検討していくとの回答があった。引き続き、市民の不安をやわらげる対策を望む。

不朽の名著

慶應義塾大学の講義で、今の社会が抱える問題は何かという学生の質問に対し、教授は応えた『今の日本社会が抱えている病理は、自助自立の精神を忘れてしまったこと・・・。そして、必読の書として勧めるのは「自助論」である・・・』153年もの前に翻訳された本を、何故学生に勧めるのだろう。そこに書かれている、今の社会に必要な精神とは何か。

 

気になった私は早速、サミュエル・スマイルズ著『自助論』(三笠書房)を買い読んだ。この本は、教授が推奨するように、優れた本であると実感した。1858年にジョン・マレー社によって出版され、当時の日本で総計100万部ほど売れたベストセラーだという。今も昔も変わらない、名著なのだ。

 

安政の日本では、日米修好通商条約を交わし、自由貿易がスタートした年にあった。その10年後、明治時代へと替わり、近代国家への道を突き進んでいた。スマイルズは著書で「自助の精神は人間が真の成長を遂げるための礎である」という。明治初期の頃は、伝統を重んじながら新しいものを取り入れる柔軟性があった。そして若者は将来に夢を持ち、自らの足で立っていた。

 

スペシャルドラマ「坂の上の雲」第三部がスタートした。一部では幕藩体制から解かれた若者達の、夢と希望に満ちあふれた姿が映し出されていた。この時代は、勉学に勤しみ志を持ちさえすれば、医者にもなれたし海外に出て学ぶことも出来た。つまり、個人の意義と価値を認める時代の到来を迎えていた。その時代に読まれた本は、文明開化期にマッチしたのだろう。

 

 現代の日本人は、教授が言ったように自助自立の精神を失いつつあるのではないかと感じてならない。明治の青年達がこの本を読んで奮い立ったように、今も忘れてならないものがある。それは、自己実現のため、自らの足で立ち時代を切り開く志のことである。この自助論は、明治の世も平成の世も、時代の要請に求められた不朽の名著であり精神だと結論する

声なき いのち

IMG_0134.JPG元衆議院議員の山際大志郎氏による「チャリティーふくしま物産展」が、川崎市民プラザで開催され参加しました。会場は大勢の人で賑わい、大根、ネギ、りんご、味噌など、飛ぶように売れていました。また、会場中央には山際氏による被災地活動報告と題した写真の展示がありました。

 

IMG_0129.JPG山際氏は獣医という立場もあり、福島県内の警戒区域に残された動物達を救援し、現状を調査していました。写し出された無残な動物達の写真に、私の心は止まりました。痩せこけて立ちすくむ犬の姿や、餓死した動物達の写真が並んでいました。

 

ここで初めて知ったのは「希望の牧場プロジェクト」の活動でした。警戒区域に残された家畜は、政府の方針で殺処分の対象となります。しかし、酪農家などは、家畜を生かして被ばくの研究や調査すべきと訴え活動していたのです。資料によると、これまで犠牲に遭った牛約四千頭、馬数約数百頭、豚約五万頭・・・多くの命が失われている事実がそこにありました。

 

我々の知らなかった被災地の現実を、山際氏の支援活動によって改めて知ることになりました。閉ざされた警戒区域の声なき命を、国会議員や東電関係者は、どう捉えているのでしょう。我々は、あの311日の震災によって、時間の止まったあの場所から、目をそらしてはならないのです。救える命がそこにあるのなら、どのような命でさえ、助ける努力をするべきなのではないでしょうか。

節電の冬スタート

 川崎市は、「川崎市電力需給基本方針」(冬期版)を策定し公表した。夏の節電対策では、電力不足に対応したものだった。冬期版は、需給バランスの確保に趣旨を置いている。今後の東京電力管内における電力需給見込みの必要予備率を8%としている。しかし、基本方針にある12月の見込みでは、6.7%と予測し8%を下回る可能性を示唆している。

 

 川崎市の対応方針では市民や事業者、行政の節電行動が位置付けられている。市民(家庭)の節電対策メニューには、エアコンの設定温度を調整し、室温20度を心がけること。市役所は、執務室の室内温度を19度とすることなど、具体的な目標数値を示している。不要な電気使用は避け、ウオームビズなどの対応を心がけたい。

 

 一方、今冬の電力需給見込みで危惧するのは、東北電力管内の予備率である。前述したように通常8%の余力を残したい。最低限必要とされている予備率は3%である。東北電力管内の電力需給見込みは、125.3%13.4%20.5%36.9%と、いずれも必要予備率の8%を下回る心配を抱えている。

 

 基本方針によると、夏と同様、電力が不足することが分かった。夏の節電対策は、我々のライフスタイルを見直すきっかけとなったことは、言うまでもない。冬の厳しい寒さに対しても、節電と寒さ対策の両立を図る必要がある。東北電力管内の電力不足は、被災地をカバーしているだけに、心配でならない。