児童虐待件数が増えている。我々は暴力の手から子どもを守るために、知るべきことがある。平成23年川崎市児童相談所における児童虐待相談・通告件数が発表された。合計件数は過去最高の1320件(前年度比1.26倍)と、驚くべき数字が示された。今こそ、体制の強化と地域の見守る目を醸成したい。
種別件数では、心理的が648件(49.1%)、身体的355件(26.9%)、ネグレクト306件(23.2%)、性的11件(0.8%)と続いた。経路別件数では、警察等392件(29.7%)、近隣・知人320件(24.2%)、学校等135件(10.2%)と続いた。虐待者別件数では、実母が741件(56.1%)と多く、続いて実父が478件(36.2%)であることが分かった。
川崎市では、児童相談所を2箇所体制から3箇所体制(こども家庭センター・中部児童相談所・北部児童相談所)へと強化した。宮前区域の相談は、中部児童相談所で担っている。施設では常勤職員28人とその他の職員で、相談支援や心理支援などを行っている。加えて、子ども達の宿泊機能も備え、長期化する問題に対応している。
通告を受ける児童相談所と、救いを求める命の距離を縮めるための法律改正もあった。かつて、立入調査は警察の権限にあった。そこで、平成19年の「児童虐待防止法」の改正で、児童の安全確保のための立入調査等の強化が加えられた。「出頭要求を行っても保護者がこれに応じない場合に限り、裁判所の許可状を得た上で、開錠等を伴う立入調査を可能とする」となったのだ。
児童相談所の権限強化も大事であるが、限られた人員での業務には限界があると視察して感じた。そこで1つの提案である。児童相談所と区役所子ども支援担当窓口との連携を改めてはどうだろうか。身近な総合行政機関である区役所支援担当では、あらゆる子育ての悩みを聴いている。そこに、軽易な児童虐待相談を加えるのだ。増加する児童虐待相談にスピード感を持って的確に対応するため、相談窓口を拡大すべきである。
川崎市児童虐待防止センター(24時間)℡0120-874-124