東京湾は地震が起きても、津波の被害は少ないと教えられたことがある。その理由として、東京湾の入口に大島があり、地形状、津波を遮るからだと。確かに、震源地の位置によっては波を軽減するのかもしれない。しかし、震災を経験すると、その脅威は、かつて学んだ自然地理学の領域をはるかに超えるものとなる。
国の専門調査会の中間答申を受けた神奈川県は、津波被害の想定を見直し「津波浸水予測図」(素案)を公表した。発生頻度は極めて低いとしながらも、最大級の津波を想定している。川崎市議会の代表質問でも、臨海部の津波対策に対して、質問が繰り返された。
県によると、鎌倉市の津波の高さは、1605年の慶長地震を加え想定すると14.4メートルとなる。1498年の明応地震を加え想定した津波では12メートルとなり、鎌倉の大仏や鶴岡八幡宮まで到達する可能性を示唆している。
東京湾沿岸も例外ではない。慶長型では、川崎市も高いところで4メートルの高さに及ぶ。浸水域は広域となり、川崎の競輪場近くまで到達し、甚大な被害が出ることが推測される。国道15号線は超えることはないが、付近まで及ぶことになる。
我々は3.11の地震で、自然の脅威を見せつけられた。歴史が繰り返す自然災害は、人間の想像をはるかに超え、被害をもたらしてきた。県は、最大限の津波を想定し警笛を鳴らす。川崎市はハザードマップの作成と、対策を急ぐべきである。
神奈川県 http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/380912.pdf