2011年4月アーカイブ

情報とのつきあい方

最近、コンパクトで端的にまとまっている新書が売れているそうだ。消費者がこうした本を好んで選択する理由は、社会の情報構図が変わったことにある。多くの情報の中から、必要な情報だけを手軽に入手したいと考えている読者が増えているようだ。『情報から真実をすくい取る力』黒岩祐治著(青志社)を読んだ。

 

黒岩氏と言えば今回の知事選で、ジャーナリストから神奈川県知事に転身を果たした人物である。この著書は、元「報道2001」キャスターの経験から、上手な情報との付き合い方を提案している。ざっと3時間程度で読むことができ、著者の情報術が分かりやすく理解できる。これから知事職を遂行するにあたり、培った情報術をどのようにリーダーシップにつなげ、県政を牽引していくのか期待したい。

 

総務省によると、世の中に流れている情報量は、この10年間で410倍に、12年間で637倍に増加したという。例えば、10の情報であったものが6370の情報に増えたことになる。昔からある4代マスメディア(テレビ・雑誌・新聞・ラジオ)に加え、ネットなどの新たなツールが登場している。

 

人間が処理できる情報量は、当時と変わっていない。つまり我々は、現代の社会に洪水のごとくあふれる情報を、いかに取捨選択し判断していくかが問われている。玉石混交した情報を、間違えなく選択する術を身につけなくてはならない。そう、社会には間違えた情報があふれかえっているからだ。著者の『情報術』は必読、この本を推奨したい。

エネルギー再考

福島の原発事故は、改めて日本のエネルギー政策の在り方について問題を提起した。福島第一原発事故によって、放射能汚染と併せ電力不足の問題を解決しなくてはならない事態となった。東京電力によると、供給力は7月末までに4500kw前後まで回復するとしている。しかし、冷房のピーク時になると、5500kw程度の電力消費が想定されており、ざっと1000kwに及ぶ供給不足が予測されているのだ。

 

この問題を受けて東京電力では、各地の火力発電所にガスタービン発電設備の設置を急いでいる。川崎火力発電所では、平成238月の運転開始を目指して、1100°C級ガスタービン発電を新設する。これにより、新たに12.8kwを確保する。その他にも、姉崎、袖ヶ浦、千葉、大井のそれぞれの火力発電所でも設置される。供給量は全てを合わせても150.6万kwに留まり、供給不足量には到底追いつかない。

 

 国は、国内の電力供給量の1割にもみたない風力や太陽光発電ではあるが、自然エネルギーの導入も積極的に促進するべきである。また、節電対策も国が先頭にたって行う必要がある。国会ではようやく、中長期的なエネルギー戦略の議論がスタートした。どのようなプランになるのか、注目していきたい。

復旧から復興へ

DSC05886.JPGもし、東北出身の後藤新平が、今の被災地の現状を見たらどう思うだろうか。復興再生が進む東北地方を、黙って見てはいなかっただろう。国ではようやく、「復興再生基本法」(仮称)や「復興再生院」(仮称)の設置に向けた議論が始まった。さて皆さんは、後藤新平という歴史上の人物をご存知であっただろうか。

 

この本は、私の都市政策の師匠である郷仙太郎先生が書いた、小説『後藤新平』学陽書房である。後藤新平と言えば、都市政策の先駆者として広く知られ、多くの著書でその業績が讃えられている。私も都市政策を学ぶ上で、研究の鏡鑑としてきた人物である。その歴史は1920年に東京市長に就任後、関東大震災復興の際に復興院総裁となり辣腕をふるった。今の東京の骨格を築いた人物と言っていい。

 

後藤が考えた復興計画では、理想案として総額40億円を超える規模の提案を行っていた。しかし役人から「大風呂敷」と酷評され、規模、費用ともに縮小を余儀なくされた。結果的に10億円の計画案となったが、災害に強い都市づくりという視点から評価は高い。あれから90年以上たった今、後藤の足跡を見ることができるのは、昭和通り、日比谷通り、墨田公園、隅田川に架かる橋など、多く散見する。

 

 後藤の復興計画がそのまま実現できていたら、今の東京都の街並みは欧米に引けを取らない都市が実現できていただろう。震災復興計画の縮小を嘆く声が、未だに聞かれるのはそこにある。被災地はこれから、復旧から復興へと歩みを進めることになる。復興再生の枠組みの議論にあたっては、後藤新平のようなリーダーシップと先見性を持った人物が現れることに期待したい。

DSC05879.JPG計画停電は再び、いつ行われるかわからない状況です。そこで注目なのが、パワーイレ(大型蓄電池)です。写真は、川崎市災害対策本部事務局の部屋に置かれたパワーイレ(黒い箱)です。災害時の停電の際に、大型モニターを映し出す、電力供給源となります。エリーパワー社から川崎市に無償提供される10台が本日、市役所に届けられました。それでは、一体、どのような能力があるのでしょう。

 

パワーイレの気になるお値段は、1100万円代後半だといいます。リースの場合は、月額36000円とまだまだ高額。川崎市では100台を5年リースし、4536万円(年間)を投じています。現在、このパワーイレは法人向けですが、夏には市販する予定だといいます。

 

それではこれを、家庭用に置き換えたらどうでしょう。容量は、2Kwhです。一般的な家庭の1日の電力使用量は10kwh程度ですから、昼間のピーク時の、電力の一助となります。最も、昼間の太陽光発電で得たエネルギーを蓄電池に蓄え、電力のピーク時に活用することが出来れば、こんな素晴らしいことはありません。

 

DSC05880.JPG 大型蓄電池。是非とも量産して頂き、コストダウンを図ってもらいものです。安くなれば家庭での普及に期待が持てます。商売をしている自営業者の皆さんも、停電を気にしないで店を営業することが可能となります。以前も述べましたが、川崎市のポテンシャルは「環境技術」です。こうした技術の導入を積極的に推進するべきです。

川崎市では、被災者への迅速な支援のため、今日から基金への寄附を呼びかけている。基金の原資となるのは、市民(個人)と市内企業・団体からの寄附金3000万円と、川崎市の一般財源の2000万円から積立てられる。

 

 集められた基金の活用方法は、被災地向けの支援物資の調達(3850万円)や、川崎市内で避難生活を送っている被災者に対する就労、就学の準備(1150万円)などに役立たれる。関係自治体や被災者の声(要望)に耳を傾け、的確に対応することが求められる。

 

 基金の受付けは、横浜銀行や川崎信用金庫、セレサ川崎農業協同組合の3金融機関て、振り込みにて受付けている。今後、受付協力金融機関が増えることが望まれる。また、こうした自治体の動きが、全国に増えていくことに、期待したい。

川崎市の被災者支援

被災地では未だ多くの方が、避難生活を送っている。そこで、民主党は、第2次補正の財源確保策として、「復興再生債」(仮称)を発案した。加えて、消費税の増税論も起こっているようだ。一方、川崎市では、東日本大震災の被災者支援などのために、平成23年度4月補正予算(市長の専決処分)を示した。一般会計の総額は、668000万円を計上している。内容は、以下の通りである。

 

支援物資の提供として3850万円が計上。被災地への支援物資を購入することになる。復興の現状を考慮すると、迅速に行うことが求められる。被災者の就学支援のために、1150万円が計上された。川崎市の小中学校に転入学した被災者に、学用品等の援助に充てられる。既に新学期がスタートしている。子ども達の不安を和らげるためにも、こちらも早い用意が必要である。

 

川崎市民の安全・安心を守るための予算では、44300万円が計上された。地震により損傷した公共施設の補修のため、3700万円が用意された。また、備蓄物資の購入費として、9000万円が計上。被災地に提供した備蓄物資の補充を行うことになる。放射線監視体制の強化では、測定機器の購入と併せ、大気測定の拡充のために3600万円が計上された。その他、地域経済の活性化にむけた取組みや、節電のための取組みなどに予算が充てられることになる。

 

 4月補正予算は、専決処分の形で示された。震災対応だけあって、迅速性が求められる。議会での予算認定に及ぶことなく、速やかに実施してもらいたい。国や自治体における財源の議論は、広く市民に協力を呼び掛け、理解を得るしかない。今の窮地を乗りきるためには、相互扶助の精神こそ優先されるべきである。そうです、我々の「絆」が試されているのです。

素行自得(そこうじとく)

IMG_0894.JPGタイトルの中庸は、「環境によって得るものが変わる訳ではなく、どのような環境であっても自得することができる」という意味です。「その環境に素して行い、どのような環境であっても、それに応じて自らを得る」と解釈できます。自分の天命を知れば、どういう立場にたっても、その使命の達成に努めることが大事です。つまり、ひたすらに修養を重ねることの必要性を諭しています。

 

そうです、あの選挙から1週間が経ちました。一息、体を休めたいところですが、なかなか暇(いとま)がありません。野球の開会式や総会の出席、陳情への対応など、充実した4期目のスタートを迎えています。昨夜、熱海で行われた総会に出席し一泊。早朝に現地を出発して地元に戻り、宮前区老人クラブ連合会の総会に出席・・・。このようなスケジュールを連日こなしています。

 

 これもひとえに、ご支持を頂いた皆様方のお陰様。感謝の意は尽きません。どのような立場になろうとも初心を忘れず、環境に素して修養を重ねてまいります。自得を説く旅はたった今、始まったばかりなのです。

住宅支援

私の知人から携帯に、一本の電話が入りました。所有のアパート4戸が空いているので、東日本大震災の被災者に、無償で提供したいので相談にのってほしいという内容でした。大変、ありがたい申し出です。そこで、自治体における被災者に対する住宅の調整は、どこで行っているのでしょう。受付窓口を調べてみました。

 

まず、川崎市に聞いたところ、民間住宅の調整は全て、神奈川県土整備局建築住宅部が窓口になっていることがわかりました。早速、県に電話をし、依頼内容を伝えました。私に依頼のあった4戸も、エントリーの手続きをとってもらいました。職員の方の話によると、二次募集(414日まで)が終了し、公営住宅を優先に入居して頂いているとのこと。これから希望が上まわるようであれば、善意の要請があった民間の住宅を、活用していく計画だといいます。 

 

一方、川崎市では被災者に対して、一時的に50戸の市営住宅を提供しています。第一次募集の20戸は、328日から随時入居が進んでいます。第二次募集の30戸については、419日以降から入居が行われる予定です。

 

自治体は「災害といえば避難所」という考えから一歩前進させ、生活再建の拠点となる既存の住宅提供を促進するべきです。希望されるより多くの方々に住宅が提供できるよう、入居の条件を緩和する必要もあります。避難所から住宅へ、これからスムーズな転居ができるよう、行政の調整と支援を求めます。

 

お知らせ

川崎市住宅供給公社では、被災者支援のため物資を受付けています。明日の15日(金)まで、布団、台所用品など新品のみ、物資を受付けています。尚、品物が充足し次第、受付けを終了するとしています。公社では、必ず電話をしてから持参するよう、呼びかけています。 

 

受付窓口 川崎市住宅供給公社 川崎市川崎区砂子1-2-4

                    電話 044-244-2060

 

 

川崎市の災害廃棄物の処理

 東日本大震災が発生してから、一ケ月以上が経過しました。新聞報道によると、411日の阿部川崎市長の定例会見で、「東日本大震災の被災自治体に対し、職員の派遣や廃棄物処理の支援などを申し入れた」ことを明らかにしています。これを受けて市民の皆さまから、災害廃棄物を市内で焼却することで、放射能が飛散することを心配する意見が、私のところへ寄せられていました。不安と反対の声が、メール、ツイッター、電話にて多数届いています。

 

早速、川崎市環境局に市民の声を伝え、早急に議会に対する公式見解を求めてきました。その結果、41316時着のFAXにて、川崎市議会議員宛として環境局から、「災害廃棄物の支援に関する基本的な考え方」とした報告が送られてきました。放射能を帯びた廃棄物処理については、以下の通り記されていました。

 

「災害廃棄物の本市への受け入れにあたりましては、災害廃棄物の処理に関する全体的な計画が示された段階で、その計画に基づき、関係自治体とも協議をしながら、健康と安全を第一に処理の体制を検討していくこととなります。また、放射能を帯びた廃棄物については、低レベルであっても、移動が禁止されておりますことから、本市で処理することはありません。

 

 下線を引いた部分に書かれているように、一切の汚染物質は、持ちこまれない事になります。しかし、その他廃棄物の細部にわたる放射能チェックが可能なのでしょうか。議会における議論が必要です。これから重要な事は、災害廃棄物の処理に対する川崎市の情報開示と説明であります。引き続き、議員への報告がありましたら、HPブログにて、情報開示していきます。

多謝

022.JPG9日間の選挙戦を無事、戦いきることが出来ました。終わってみると、あっという間の出来ごとのように感じます。お陰様で再び議席をお預かりすることが出来ました。ご支援を頂いた皆様に、言葉では言い表せない程、感謝しています。

 今回の選挙戦は公約で勝負と心に決め、力を入れて政策を訴えてきました。提案した「宮前ガバナンス2011」では、北川正恭先生(早稲田大学大学院教授)に直接ご指導頂いた事に習い、お約束を8つの柱で提案しました。4年間の活動が検証可能なように、出来る限り数字を加え訴えてきました。

 今後ともその職責を全うすべく、お約束の実現に向けて、全力で取組みます。今夜から再開した、ブログやツイッターで、市政を論じます。引き続きのご指導を、宜しくお願いします。