最近、コンパクトで端的にまとまっている新書が売れているそうだ。消費者がこうした本を好んで選択する理由は、社会の情報構図が変わったことにある。多くの情報の中から、必要な情報だけを手軽に入手したいと考えている読者が増えているようだ。『情報から真実をすくい取る力』黒岩祐治著(青志社)を読んだ。
黒岩氏と言えば今回の知事選で、ジャーナリストから神奈川県知事に転身を果たした人物である。この著書は、元「報道2001」キャスターの経験から、上手な情報との付き合い方を提案している。ざっと3時間程度で読むことができ、著者の情報術が分かりやすく理解できる。これから知事職を遂行するにあたり、培った情報術をどのようにリーダーシップにつなげ、県政を牽引していくのか期待したい。
総務省によると、世の中に流れている情報量は、この10年間で410倍に、12年間で637倍に増加したという。例えば、10の情報であったものが6370の情報に増えたことになる。昔からある4代マスメディア(テレビ・雑誌・新聞・ラジオ)に加え、ネットなどの新たなツールが登場している。
人間が処理できる情報量は、当時と変わっていない。つまり我々は、現代の社会に洪水のごとくあふれる情報を、いかに取捨選択し判断していくかが問われている。玉石混交した情報を、間違えなく選択する術を身につけなくてはならない。そう、社会には間違えた情報があふれかえっているからだ。著者の『情報術』は必読、この本を推奨したい。