首長VS市議会

河村市長が名古屋市議会を解散させるために、リコール運動を始めている。市議会解散の直接請求に必要となる署名は、366000人となる。期限まで後3日と迫り支援団体の話では、その半分に留まっていることから成立は厳しい情勢だ。それでは何故、ここまで両者が対立してしまったのだろうか。税財源論からみてみる。

河村市長は、市民税を一律で10%の引き下げを公約として当選してきた。公約達成のために、議会のリコールの道を選んでしまったのである。減税をする意図は2つあるという。1つは、大阪や東京に埋没しないための、都市間競争に勝つことにある。2つは、行財政効果を期待している。入口を狭めれば無駄を省かざるをえないという論理である。

一方の市議会は、財源の不足を理由に減税を反対している。これまでの議決では10%減税を、6月からの1年間の時限措置とし慎重な対応をとっている。2000年の地方分権一括法の施行以来、自治体の課税自主権が拡大したことを受け、自主課税権を活用する自治体が増えている。横浜市では、標準税率に緑新税の900円を課税し、市民税の均等割を3900円としている。

 「減税こそ最高の市民サービス」だと河村市長はいう。本当にそうであろうか。確かに減税と聞けば、市民の受けはいいだろう。私はこの減税のための混乱は、市民のためにはならないと考えている。名古屋市の市債現在高(借金の累積)は驚くことに、1兆8000億を超えている。減税をいっている場合ではないのではないか。自治体が地域住民に行政サービスを提供するには、一定の財源が必要なことは、今更いうまでもないのだが。