民間マンションにおける耐震化の促進を!

東日本大震災以降、地震に対する備えの意識が高まっている。耐震強化が必要な建物は、命を守る視点から、早急に改修を図るべきである。そこで、行政による民間マンションなどに対する耐震支援は、本当に十分なのだろうか。

 

宮前区の世帯数は、92005世帯。居住の種類では、戸建26992世帯(29.3%)、共同住宅62113世帯(67.5%)に分類すると、マンションなどに住む市民が多いことが分かる。その内、助成対象となる物件だけをとっても、宮前区内に146棟(平成16年分譲マンション実態調査調べ)に及ぶ。

 

川崎市では、「民間マンション耐震対策事業」として、耐震化の促進を進めてきた。流れは、「予備診断」「耐震診断」「耐震改修設計」「耐震改修工事」の順で進められる。昭和56531日以前に建てられた建築確認通知書等の交付を受けたマンションなどを対象に、「予備診断」を無料で実施している。耐震改修が必要な建物に対しては費用の一部を、助成している。

 

予算規模では、平成23年度当初予算合計で、4980万を計上した。しかし、実績をみると49棟の利用で、当初見込みの8分の1にあたる6053000円の予算執行額に留まっている。課題となるのは、耐震対策の必要性が判明しても、費用負担が高額なこともあり、次へのステップを躊躇するケースが目立っている点だ。

 

耐震診断と改修を促進させるための制度には、自治体の他に国でも行っている。リフォームの減税制度により、所得税の控除や固定資産税の減額も適用できる。また、「復興支援・住宅エコポイント」で、ポイントも加算できる。

 

川崎市の耐震対策事業費は、十分な予算化が確保されていた。しかし、市民による活用実績からみると、十分に活かされていないことが分かる。そこで、市と国の制度を複合的に活用することで、改修に要する費用負担の軽減を図りたい。まずは、市に設置された相談窓口で相談してほしい。