廃食油≒資源

「家庭から排出される資源物としての廃食油回収の推進を求める請願」の審査が、先日の環境委員会で行われた。審査の結果、趣旨採択となった。廃食油とは家庭の調理などで利用した、不要となった食用油を指す。委員会では回収の可能性と、家庭などから出る廃食油は資源として有効なのか議論となった。

 

 これまで川崎市では、廃食油をなるべく使いきるか、普通ゴミとして出すときは布などに染み込ませ、固めて排出するよう周知してきた。廃食油の資源回収は行政ではなく、民間の手によって行われている。

 

廃食油は立派な資源となる。1つは石けんに、2つはバイオディーゼル燃料(BDF)として再生可能だ。燃料とした場合、ゴミ収集車やバスの動力として、実証実験も行われている。しかし、安全性などに問題があるという。

 

 家庭からの廃食油を資源化できる市内事業者は「NPO法人川崎石けんプラント」1社のみである。1日に処理できる量は100リットル。仮に全市で回収した場合、処理能力は不足する。

 

また、川崎市が廃食油を回収・資源化した場合の回収に要する経費は、9600万円と試算している。廃食油の見込み回収量は52トンで、ごみの全体量から比較しても、削減効果としては期待できない。

 

行政が主体となって資源回収するには、費用対効果などの課題は残ってしまう。当面は、市民団体の活動を支援することが重要だ。経済性と環境のバランスをどう捉えるか、再生技術の進展にかかわっている。