川崎とPPSの関係

 電力供給不足や料金の値上げ予定により、PPS(特定規模電気事業者)に対する期待が高まっている。東京電力㈱の電気料金に比べ、PPSから電力を買った方が安いからだ。2000年の電気事業法の改正により、東京電力㈱以外の電力供給会社による売電を可能とした。2005年には、小売自由化範囲の拡大により、全電力需要の6割が可能となった。

 

 これを受け自治体等は、PPSからの電力調達を進めている。大口需要家の予算削減効果は大きい。世田谷区では、PPSが落札した場合、11000万の削減効果を見込んでいる。横浜市では、削減幅は明確にしないものの、既に、市庁舎・地区センター等、600施設に及んでいる。

 

 一方、我が街、川崎市はどうだろうか。川崎市は「平成23年度環境配慮電力入札」で、39施設を対象に実施し、内25施設がPPSによって落札された。主な施設は、市庁舎・多摩区役所・市民ミュージアム・ごみ処理センターなどである。川崎市には、1000を超える施設があるといわれているが、その内の36施設に留まっている。

 

 出来ればコスト削減効果に期待したい。しかし、市が提案する入札の全てに、PPSが手を挙げてもらえるとは限らない。PPSの電力供給量は、発展途上の段階にある。自由化市場に占めるPPSのシュアは、約3.4%とわずかでしかない。PPSは企業の利益を生むと判断した施設にしたか、入札に興味を示さないのが現状だ。

 

 脱東京電力㈱が進む一方、留意しなくてはならない点もある。電気料金にばかりとらわれていると、そこに落とし穴はある。電気事業者には、環境配慮が求められている。その1つ、二酸化炭素排出係数は、東京電力㈱が0.000425kwhに対して、丸紅㈱は0.000492kwhとなっている。二酸化炭素の排出係数を比較すれば、東京電力㈱に軍配はある。

 需要家のメリットは、競争原理によって働く電力料金の低廉化にある。買う規模が大きければ大きい程、電気代を安く抑えることができる。加えて、企業間競争によってもたらされる環境配慮への効果も期待したい。川崎市は先進自治体の取組みを、参考にすべきである。購入の選択肢がある以上は、川崎市施設のPPSの利用拡大に期待したい。