ダム建設の是非論

国交大臣は、八ツ場ダム建設の再開を表明した。09´民主党マニフェストには「建設中止」と謳っていた。我々も報道によって、その方向性で進んでいくものと受け取っていた。しかし、民主党の「コンクリートから人へ」と掲げた言葉もむなしく、今や色あせてみえてならない。右往左往する政権に、周辺住民の怒りは如何ばかりであろうか。

 

この迷走劇を見て、ある経済学の教授がいっていた言葉を思いだした「経済学は全ての事象を数字で証明することができる」経済学によるコストベネフィット分析によって、現在の進捗からしてダムの建設の継続は、必然なのだということが分かる。必要な総事業費は4600億円。伴う6000億円の便益に対して、既に3400億円が投じられている。残りは1200億円ということになる。つまり1200億円分の工事を継続すれば、6000億円の便益を得ることになる。

 

八ツ場ダムの建設は、過去のカスリーン台風による被害の教訓から建設が決まった。日本の地形は、雨が降って海に流れるまでの時間が短い。流域の安全確保のため、治水対策と利水対策は日本の地理的特性を踏まえれば、必要不可欠なのである。しかも、地域振興のための約束がったなら、なおさらである。

 

 この計画に対する結論は「継続」でしかない。「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズは、建設に8割近く投じられた今になって言うには、あまりにも遅すぎる。経済学によるコストベネフィット分析は、事業の継続か否かを問われた際に、最もわ分かりやすい判断材料の1つと言える。