屋根のない博物館

DSC06251.JPGまち全体が博物館、そんなまちが日本にあります。それは、愛媛県松山市です。屋根のないミュージアム(フィールドミュージアム)としてのまちづくりは、官民一体となって観光を盛りたてています。この伊予の国松山は、正岡子規、秋山兄弟が生まれ育った土地です。そうしたまちの共有財産を、3人の生きたゆかりの地とともに紹介し、多くの観光客を招き、受け入れています。 

 

 

DSC06229.JPG 写真は、坂の上の雲ミュージアムです。私の大好きな安藤忠雄建築です。この建物を観るだけでも来た価値ありのこの場所。展示物は、秋山兄弟のゆかりの物や、明治時代の日本の歴史が分かりやすく紹介されています。明治の激動の時代を駆け抜けた、子規と真之と好古。この3人が「坂の上の雲」をみるように、明治の世を展望の眼差しでみていたのが伝わってきます。

 

「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている」。この文から始まる小説は、ご存知、司馬遼太郎『坂の上の雲』です。列強国が日本を訪れるようになったこの時代。封建体制から解放された3人の若者が、激動の時代を生き抜こうと奔走します。日本への危機感を募らせていた若者の生きざまを、この本から知ることができます。

 

DSC06254.JPG

 混沌とした日本の政治を裏目に、明るく活力で溢れていたあの時代を振り返ることができるまち松山。なんだか、今の日本の危機を乗り切るためのヒントが、そこにあったような気がします。あの3人を肌で感じたいと願い、松山の地を訪ねてみました。その土地の魅力を発掘し、それを繋ぐまちづくり、これこそ都市政策の真骨頂。