司令塔

DSC05885.JPG文科省地震調査研究推進本部の予見では、М8クラス(東海大地震)の発生率が、この30年以内に87%あると示唆しました。震災後、かなり高い確率に変わってしまったことは、危機管理体制に影響を与えます。これを受けた首相の言葉によって、浜岡原発停止が、決定となりました。この決断が、英断だったのかその場しのぎだったのか、マスメディアで議論の対象になっています。議会制民主主義の日本で、政策決定にトップの決断がどう反映されるべきなのか問われています。

 

迅速性と熟議たる議論のどちらを優先するか、という問題提起がここに隠されています。いつ発生するか分からない地震に対して、議論など待っていられない、という意見もあります。一方で、大統領制とは違う議会制民主主義の日本なのだから、議会に一度でも問うのが筋ではないかという議論です。

 

写真は、川崎市役所第三庁舎にある川崎市災害対策本部(室)です。手前の席が、川崎市長(災害対策本部長)席です。両サイドの席には、各局長が座ることになります。災害発生時にはここで、各種の情報が集約され、対応が協議されます。言わば、川崎市民の生命と財産を守るための「司令塔」になるわけです。当然、決定事項は、合議制によって方向性が決まり、議会へ報告となります。

 

今回、災害対策本部を初めて訪問し感じたのは、現場での情報収集能力と体制がどの程度整っているのかが、議会で優先すべきチェック対象だということです。そうした上でのトップの決断が、正しい判断と信頼となります。どんな場面でも、トップの決断がその後の流れを決定します。ましてや危機管理面では、命にかかわることにもつながっていきます。首相の決断、対する議会の意見は置き去りにされてはいなかったのか。国の政策決定過程に、疑問を感じています。