市バス路線、越境はできない!?

答えは、「出来る」である。川崎市内の交通不便地域にお住まいの方は、全体で41万人だといわれている。川崎市営地下鉄計画が凍結となった今、交通不便地域の解消に向けた、新たな改善策が必要となっている。特に宮前区は、東急田園都市線の3駅があるのみで、駅から遠い地域では、駅や公共機関までのアクセスを、バスに頼るケースが多い。そこで、都市計画道路の整備に合わせた、新たなバス路線を提案したい。

 

例えば、小田急線登戸駅や向ヶ丘遊園駅から、たまプラーザまでの路線を、新設してみてはどうだろうか。交通不便地域の解消に効果を発揮することは、間違いない。宮前区内の都市計画道路の整備では、向ヶ丘遊園菅生線(犬蔵交差点からたまプラーザ方面)が、既に開通している。この開通により、多摩区内の小田急線駅から、宮前区内を経由した横浜市青葉区のたまプラーザ駅まで、市境を越えた市バス路線が可能となった。

 

 バス路線を市域外に設置するには、課題がある。市税の一部を投入し運行しているため、横浜市などへ路線がくい込む場合は、それなりの理由が必要となる。地方自治法第244条の3の規定では、「普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により公の施設を設けることが出来る」と謳われている。つまり、川崎市営バスを隣接する自治体へ越境する場合、横浜市と協議を行い合意を得れば、運行することが可能となる。

 

 過去にこの提案を、川崎市交通局に行った経緯がある。職員はあまり前向きのようではなかったが、宮前区民の足の利便性を考えれば、是非ともやるべきである。今やグローバス化社会の世にあって、市境の壁を越えた路線の整備もあってはいいのではないか。向ヶ丘地域は特に、小田急線や東急田園都市線駅への、アクセス向上が図られるべきだ。ましてや、路線を東西に結ぶことが実現すれば市民の足の確保のみならず、地域経済の活性化にも寄与するものと考える。