ちょっといい話

 古代の哲学者アリストテレスは、善い社会とは何かを論じている。アリストテレスによれば、「善い社会とは悪者がはびこり犯罪が少ない社会でもなければ、豊かな社会でもないといっている。徳のある人間や、人に尊敬される生き方をしている人が多い社会をいう」のだと社会学者は解説する。紀元前の哲学者のメッセージは、現代にも通じる、共感を覚えるものである。

 例えば善い社会とは、人を殺してはならないと思う「善」を前提とした社会と、監視と処罰によって犯罪を抑制した社会との2つがあるとする。アリストテレスのいう善き社会とは、内発的な「善」なる振る舞いが勝る社会を指す。多くの人が善い生き方をしたいと望み、「善」なる行いをすることができる社会が理想だと理解する。

 昨今、暗い話題を多く耳にする。しかし、数あるニュースのなかには、キラリと輝くものも少なくない。昨年の12月には、群馬県の児童相談所の前に、ランドセル10個が置かれていたということが話題になった。置いた人は、なんとあのタイガーマスクの伊達直人を名乗る人物だという。続けて、神奈川県小田原市でも、感銘を受けたとの手紙がそえられ、6個のランドセルが児童相談所に届けられた。真善美のある人はいるものである。 

なによりも素晴らしいのは、誰だか知らない善行な人が、今の社会に明るいメッセージを発してくれていることである。見返りを求めないこの姿勢が、明日の社会を善くしていくのではないか。このように「ちょっといい話」が全国で少しでも増えていくことを願いたい。

参考 デイキャッチャーズボイス 社会学者の発言より