自治政策のガラパゴス現象

 海外事例研究という学問を学んだことがある。日本の自治制度などを論じる時に、国内にある自治政策との比較に留まらず、欧米の制度も参考にして政策を考えてみようというのである。日本の自治政策は、独自の進化を続けてきた。その比較対象も人口規模が同じ都市が対象となり、ある意味、均衡が図られてきた。しかしそこには、ガラパゴス現象のようなことは起こっていないだろうか。

 これからはもっと、世界の都市政策の事例に目を向ける必要性がある。ただ単純に英語の資料から数字や自治制度だけを引きあいにして比較すると、そこには落とし穴がある。あいまいなままに比較対象とすると、間違った結論を導き出すことがある。この研究では、正しい判断材料のもとで、比較の方法を学ぶのだ。その国の人口や財政規模、立地条件を加味したうえで比較することに、この研究の意味がある。世界の先進事例を学び、それを取り入れた政策の立案が可能となる。

 ガラパゴス現象とは、内界での進化と外界での進化が別々に進み、その特殊進化と一般進化が結合する時に、特殊な進化を遂げてきた弱者側が、危機に直面することを指す。日本の自治政策の進化は、ガラパゴス諸島に浮かぶ群島のように、世界の進化から取り残された。危機にまでは至らないにしても、視野の狭いものになっててきた側面を含んでいる。

福沢諭吉の著『学問のすすめ』のなかでは、次のようにいっている。「よく東西の事物を比較し、信ずべきを信じ、疑うべきを疑い、取るべきを取り、捨つべきを捨て、信疑取捨その宜しきを得んとするはまた、難しきに非ずや」とある。あの福沢先生も明治の初期の時代から、世界に目を向けることの必要性を指導していたのである。

 政策を論ずる時、あながち政令指定都市などの類団を対象に議論を行うことがある。そこで、外国の先進事例やデータを引き合いにするとより、説得力を高めることができる。今の複雑多様化する地域課題の解決に悩んだ時、海外の事例がヒントにもなる。外国の情報を取捨選択する力を養い、先進事例を取り入れることができれば、我々の自治政策も充実した内容となるのではないかと考える。