無縁社会

今年もあと4日を残すのみとなった。1年をふり返ってみると、様々な出来事があった。なかでも印象的だったのは「無縁社会」を象徴するような出来事が、多くみられたことである。今年も児童虐待によって、多くの尊い命が失われてしまった。また、戸籍にはあるが、実存しない老人も、数多くいることが分かった。きっと一昔だったら、ご近所の間で気がついたことが、今の社会では見過ごされてきたのである。日本に元来あった、Social Inclusion「社会的包容力」は、一体どこに消えてしまったのだろうか。

 

無縁死・孤独死を迎えて亡くなる方の数が年間32000人いるという。自殺者数も同様に32000人を越えている。人と人とのつながりや絆が、希薄になっていることを反映しているという見方もできる。この問題の本質は、どこにあるのだろう。教育にあるのかIT技術などの文明の利器によるものなのか定かではない。ただ1つ言えるのは、人と人とが直接コミュニケーションをとらなくても、生きていける社会があるということだ。

 

「行旅人及行旅死亡人取扱法」という古い法律がある。この行旅死亡人の数は年間32000人いるという。その内1000人が身元不明のまま、戸籍や住基から削除されないままだという。つまり、目的地を持たない移動中の人を含め、亡くなると行旅人という扱いになり、誰だか分からないまま処理されているのである。気がついたら、誰がいついなくなったか分からない現代社会の一面がそこにあった。

 

 家族、地域、組織の絆を、今一度考えさせられる1年だったような気がする。この問題の解決には、Social Exclusion(社会的排除)をくい止める施策を、国や自治体が考えていかなくてはならい。また、Social Inclusion「社会的包容力」を高めるための、地域力を伸ばす施策が求められる。来年は、この1年に起こった事象を教訓に、「絆社会」を創るための努力をしたい。心のつながりを誰しもが感じられる地域も創っていきたい。