悠久の時を感じる

DSC05406.JPG 昨日、さいたま市大宮盆栽美術館の近くにある「盆栽清香園」に立ち寄りました。趣味として一鉢、小さめの盆栽を購入しようと心に決め、早速、品定めとなりました。選んだ逸品は、写真にある樹齢50年の真柏(しんぱく)です。手入れ次第では、樹齢1000年まで生きるそうです。新潟県糸魚川の明星山、断崖のわずかな場所から採られたものです。風雪に耐えた曲線が心を引きとめました。 

 写る白い幹の部分は枯れてしまった所で「舎利」(しゃり)と呼ばれています。仏の骨を意味し、盆栽美を引きたてています。舎利は、硫黄を混ぜた液体を塗ることで木を守り、白くなっていきます。茶色い部分は、「水吸い」と呼びます。舎利と表裏一体となることで、生と死の表現が魅力に映るわけです。

清香園にて盆栽職人の山田登美男さんと、盆栽について会話する機会を得ました。山田さんは、美術館にある有名な「日暮らし」(五葉松)を手掛けた方です。なんとその松、その評価額は14000万円だというから驚きです。日本の盆栽は、古くから山水を愛でる物です。山田さんはいいます。「1本の木で日本の景色や山水を追及していく」のだと。まさに盆栽の魅力は、そこにあるのです。

今や盆栽は、「BONSAI」として世界の共通語となり、日本の文化として広く世に知られています。大宮盆栽村は、江戸時代に盛んだった、台東区や文京区の盆栽職人が、適地を求めて1925年に大宮に移り住んだのが始まりだといいます。さいたま市はそのポテンシャルともなる歴史を、街づくりに生かしたのです。さて、盆栽の趣味、結構、奥が深そうです。