特区を活用せよ

国は6月に閣議決定した新成長戦略で、「総合特区制度」の創設を予定している。これを受け川崎市では、横浜市と神奈川県と連携して「京浜臨海部におけるライフサイエンス・環境分野の国際競争拠点形成に向けた国際戦略総合特区構想」を国に提案した。国がこの案を受け入れるかは、年内に結果が出る。

 

私はこれまで、特区制度に注目してきた。川崎市総合企画局には、庁内で特区のアイディアを募り、国へ積極的に提案するべきだと意見してきた。メリットは、神奈川口となる殿町3丁目地区へ産業の誘導を図り、新たな産業の集積に効果的だ。加えて、川崎市のポテンシャルである環境技術、ものづくり、立地条件を生かした街づくりが可能である。

 

特区導入の内容は、医療法に基づく基準病床の規制の適用除外や、外国人医師による医療行為を認めるなど、日本国内では法律の縛りがあってできない行為(研究など)が認められることになる。税制支援では、「国際競争拠点形成に係る企業立地促進を図るため、大胆な優遇税制を実施。ライフサイエンス・環境分野や先端的な研究開発においては、研究開発費、設備投資の負担が重いことから、研究開発促進税制や設備投資減税の思いきった充実」とある。税体系に踏み込んだのは、特筆すべき点である。

 

 これまでの構造改革特区制度は、制度疲労を起こしていた。その後、いくつかの変遷を重ね、制度を大胆に見直そうとしていることは、評価できる。ここで、驚いたのが、税制支援にまで踏み込んでいる点である。まだ、法人税の減免措置なのか具体的なことは分からない。これが実現できれば、川崎臨海部への関心が高まり、企業誘致へのインセンティブを持たせることができる。