認知症高齢者の徘徊をどう守るか

高齢者が増加することに比例して、認知症高齢者の徘徊者数も増える傾向にある。徘徊をする高齢者をいかに早期発見し、家族のもとに戻すか、社会の見守りが必要となっている。認知症高齢者の徘徊の早期発見に、地域をネットワーク化することによって、実現しようとする自治体がある。富山県富山市の事例を参考に、この問題を考える。

富山市には、「富山市認知症高齢者徘徊SOS緊急ダイヤル」がある。徘徊者が発生したのち、協力団体への伝達方法に、メールが活用されている。家族からのSOS緊急ダイヤルを受けると、登録した協力団体に徘徊者の顔が入った情報メールが、エリア限定(第一配信エリア)で配信される。発見までに1間以上が経過をした場合、第二配信エリア(市内全域)まで配信される。

事業の特徴は、協力団体に民間(銀行・タクシー会社・農協・美容・理容・マスコミなど)の、地域に根ざした事業者が多く含まれている点にある。その結果、通報から保護までのかかった時間が、2時間未満だった割合が65.4%と、早期発見に効果を発揮している。

 健康福祉委員会の視察で富山市に出向き担当者から、事業内容について直接、伺った。行政の役割として必要だと感じたのは、安全・安心のための「見守りネットワークづくり」にあるということ。当然、公助には限界がある。そこで行政に求められる役割というのは、点を線で結ぶネットワークづくりにある。認知症高齢者を徘徊から守るのは、その絆を生かした地域の「見守り力」にかかっている。

 川崎市でも、富山市の事例を参考にするべきであると考える。早速、川崎市と意見交換を予定している。