メディスクエア ~都市政策論~

都市政策の役割は、新しい最先端技術や情報を都市機能に加え、快適で持続可能な社会を構築していくことにある。そこで注目するのがメディスクエア構想である。この考え方は、「Media(人と人とをつなぐもの)とmedical(ヒューマン・ケア)を融合させた次世代型都市開発のことである」『都市政策』竹内佐和子著

次世代都市を構築するためには、医療、環境、エネルギー、新産業をかけ合わせた相乗効果により、都市の価値を高めることが要求される。自治体の役割は、共有の付加価値を創りだしていくための社会システムづくりであり、これらをコーディネートすることにあると考える。そこで、病院を中心とした視点で街づくりを考えていくと、医療や福祉が充実した未来の都市がみえてくる。

政策の実現を探った場合、川崎市には有効な資源が多く存在する。核となる大型病院を始め、慶応義塾大学の「テレハプティクス技術」の研究や、川崎臨海部に移転予定の実験動物中央研究所による再生医療の研究など可能性を感じることができる。これらを点として捉えるのではなく、有機的につなげていく都市マネージメントが価値を生むのである。

効果は、医療ネットワークの恩恵を受けた遠隔診断システムにより、家や職場での健康チェックが容易になる。仮に病気になったとしても、最先端の高度な医療が地域で受けられる遠隔治療が行われる日も近い。これらの進歩により、病気になるリスクを下げることが容易になる。市内にある医療機関、研究機関、自治体が連携し、医療と生活の距離を埋めることにより、結果として地域の活性化は実現するのである。