地下鉄凍結

市長は、昨今の経済情勢の悪化と市の財政見通しから、川崎縦貫高速鉄道計画を凍結した。交通局高速鉄道本部の説明では新たな計画として、組織体制を変え、まちづくり局交通政策室縦貫鉄道担当(6人)を新たに設置する予定である。平成24年度までには「総合都市交通計画」の策定を目指す。予算面では、高速鉄道事業会計の高速鉄道事業資本的支出として、平成21518431000円から平成2267912000円を計上している。前年に対して450519000円も減額とした。

 

担当者の説明では、現状の計画のままだと国の理解を得ることができないため「新技術による川崎縦貫高速鉄道整備推進検討委員会」において新たに議論をするという。そこでは、新技術(リチウムイオン電池搭載車両)等の可能性を検討する。電池電車の実用化へのハードルはまだ高い。課題は、コストが高いことと、6両を引っ張るにはまだ能力が不足している点である。電池電車は技術が進めば実用化は可能だと担当者は説明する。JRは実用化に向けた試験運転を行っている。

 

LRTが、日本でも注目されている。以前、都市政策が専門の教授から、こんな質問を受けたことがある。川崎の鉄道計画において「LRTの可能性を研究したことがあるか」というものであった。「していません」と答えると教授から「なんで」と返された。私は次の言葉が出なかったことがあった。ヨーロッパなどの都市で導入が進んでいるLRTは、経済性、機能性、環境面などで優れていることはいうまでもない。

 

 平成22年度川崎市一般会計予算案だけでも、市税分の減収が163億円が見込まれている現状において、計画の凍結はやもえないものと理解できる。凍結というありがたい時間をもらったと前向きに受け止めるなら、あらゆる可能性を今一度、研究するのもいいタイミングではないかと考える。技術は常に進歩している。発展著しい技術を無視する愚かなことは決してするべきではない。今後、設置される検討委員会の議論に注目したい。