「パーキンソンの法則」 その1

国会議員の公約には「天下り撲滅」と謳い、有権者もそれを支持してきました。そこで、天下り問題はなぜ起こってしまうのでしょう。ヒントはここにあります。「パーキンソンの法則」です。この法則は英国の歴史・政治学者であるC・ノースコート・パーキンソンが唱えた、幾つかの法則をさします。第一の法則では官僚制のメカニズムについて皮肉をもって指摘しています。

1955年の氏が書いた記事では、官僚組織の肥大化は、業務の増加が原因ではなく役人が組織を増やし、業務が拡大する非合理さを指摘しています。日本では、幹部が部下を増やしたがり、お互いに仕事をつくりあうものだという意味でよく引用されています。

 英国のパーキンソンの理論は、日本の官僚組織においてはどう捉えればよいのでしょう。日本の公務員数は、慧眼ある与謝野馨先生の著「堂々たる政治」によれば、公務員数は先進国中で一番少ないと指摘しています。人口1000人当たりの公務員数(国・地方)はアメリカ73.9人、イギリス97.7人、ドイツ69.6人、フランス95.8人、日本42.2人です。国際比較では、公務員数は少ないことがわかります。

 しかし、日本ではこの法則の原理が、「天下り」という形に変えて現れていると考えられます。パーキンソンの法則は、行政に限らず企業においても、組織内の伏在としてあるものと認識するべきなのです。その現れの一つが、逃げ道にもなっている「官僚の天下り」などにみられます。みえない糸でつながることによって、組織を拡大してきた所以でしょう。

 行財政改革の必要性をパーキンソンは説いているのだとするならば、その対策に応えるべきだと思います。